高度化する社会では、これ以上の自然破壊を抑制すると同時に「進化するもの」と「残すべきもの」があります。ファッションの世界において「残すべきもの」は日本の伝統と文化です。
私は、ずっと以前から自分の服づくりの中にその「カタチ」、「素材」、「色」などを技術という接点で様々な方法を使って取り入れてきました。
ある時は昔ながらのそのままの手法を生かし、またある時は最新のテクノロジーを使って。私は日本人が歴史とともに育み、現代に残るものは今後も世界に通用するものと信じます。
私の服づくりの原点(コンセプト)は「心と身体をやさしく包む」こと、それをカタチとして表現しファッションを文化として捉えることです。
私は伝統的な「残すべきもの」と進化する「テクノロジー」を使い、コンセプトに沿った服づくりを続けていきたいと考えています。
私のデザイナーとしての目標は、「伝統と技術の共存」、そして「遊びと機能の共存」です。世の中は、今後益々高度情報化社会となり、デジタルの力がそれを牽引していくでしょう。ナチュラルなものを大切にしながら、テクノロジーとも正面から向き合う。
どこまで思い通りになるかは分かりませんが、これからも挑戦していきたいと思います。

東洋思想には「自然と共に生きる」という考え方があり、人間は自然の一部であり、神は自然の中に存在します。私は、着衣が身体を保護すると同時に神(自然)と交信するためのツールであったと解釈しています。そして、五穀豊穣を願って自然をモチーフにした色や柄を多用したのでしょう。こんな東洋思想をベースに、私は「心と身体をやさしく包む」デザインを心掛けています。その服を着ることによって、その人の心と身体が安らぎ、自然と共存出来ればと思います。
西洋と同様に、東洋には素晴らしい文化が多数あります。中国大陸を中心に北方や南方へと広まり、日本にも伝来し、それぞれの地域で独自の文化を創生しました。また、西洋とはシルクロードを介して交流し、お互いに影響を与えながら発展しました。
日本は、建築、芸術、芸能、茶道、花道など静かで力強い独自の文化を醸成してきました。私の感性のオリジンである日本の文化を大切にしながら、グローバルな視点で創作活動を続けていきたいと考えています。
私にとってテキスタイルはデザインの中核を占めるもので、私のクリエイションはテキスタイルから始まります。なぜならば、テキスタイルの色、柄、質感が、ファッションを表現する上で、人の視覚と触覚に訴える非常に大切なものであり、さらに衣服として身体に直接触れるモノだからです。日本には着物の染織を中心とする伝統技術と、ポリエステルを中心とするハイテク技術が共存します。私は常に伝統的な技術やハイテク技術を自由に使ってデザインを完成させることを心掛けています。
日本の着物文化には平安時代から伝わる独自の色や柄の中に、素晴らしい和の感性や伝統技術が存在します。着物は、立体的でパッケージ的な西洋の服とは異なり、平面的な一枚の布を羽織ったり巻いたりすることによって、また着る人やその着方によって微妙な変化と緊張感が生まれます。着物文化から学ぶべきものは多く、それは新しい発想の原点にもなります。私は、新しいカッティングを取り入れたモダンな現代のカタチを表現したいと考えています。